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ベテラン社員も注意したい偽メールと電話詐欺|建設会社の対策

ベテラン社員も注意したい偽メールと電話詐欺|建設会社の対策

ベテラン社員も注意したい偽メールと電話詐欺|建設会社の対策

「社長から急ぎの振込依頼が届いた」「いつもの協力会社から口座変更の電話があった」。こうした連絡を受けたとき、相手の名前や会社名を知っているだけで信用していませんか。

建設会社では、長年付き合いのある元請会社や協力会社、資材会社との信頼関係が仕事を支えています。しかし、その信頼関係を悪用する偽メールや電話詐欺には注意が必要です。経験豊富な社員であっても、通常の業務に似せた連絡を受ければ判断に迷うことがあります。

大切なのは、ベテラン社員の経験を疑うことではありません。経験と人間関係を生かしながら、重要な変更を別の連絡手段で確認する仕組みを会社全体で整えることです。

この記事で分かること

  • 建設会社で注意したい偽メールと電話詐欺の違い
  • 社長・元請会社・協力会社を装う連絡への対処
  • 電話番号や差出人名だけでは本人確認にならない理由
  • 振込先変更や工事資料の送付依頼を確認する手順
  • 誤って情報を伝えた場合の初動と10項目チェックリスト
目次|ベテラン社員も確認したい13のポイント
  1. 経験豊富な社員も確認が必要な理由
  2. 偽メールと電話詐欺の基本
  3. 社長を装う緊急メールに注意
  4. 元請・協力会社を装う連絡
  5. 振込先変更と請求書の確認
  6. 電話で情報を聞き出す手口
  7. 表示名・電話番号を信用しすぎない
  8. 偽メールと電話を見抜く5つの基本
  9. 情報を伝えた・送金した場合の初動
  10. 社内で決めたい確認と承認のルール
  11. ベテラン社員の経験を生かす朝礼教育
  12. 偽メール・電話詐欺の10項目チェックリスト
  13. まとめ|信頼関係と本人確認を両立する

1.経験豊富な社員も確認が必要な理由

長年同じ取引先を担当している社員は、相手の会社名や担当者、工事の進め方をよく理解しています。その経験は建設会社にとって大切な財産ですが、詐欺への対策では「よく知っている相手だから大丈夫」という判断を避ける必要があります。

攻撃者が取引先や経営者を装ったり、業務に関係する情報を使って連絡してきたりする可能性があるためです。メールの文章が自然でも、電話で実在の会社名を名乗っていても、それだけで本人とは確認できません。

これは年齢や勤続年数によって詐欺に遭いやすいと断定する話ではありません。新入社員にもベテラン社員にも共通する、重要な連絡の確認手順として考えることが大切です。

社長が確認したいこと

長年取引している会社から振込先変更の連絡があった場合、担当者は必ず別の連絡手段で確認するルールになっていますか。「いつもの相手だから確認不要」という例外を作らないことが重要です。

2.偽メールと電話詐欺の基本

偽メールには、取引先や経営者を装って送金を指示するものや、偽サイトへ誘導してパスワードを盗もうとするものがあります。一方、電話詐欺では、相手の信用を得ながら情報を聞き出したり、金銭の支払いを求めたりする場合があります。

メールと電話を組み合わせる手口にも注意が必要です。例えば、先に電話で「資料を送りました」と伝え、その後に届いたメールのリンクを開かせる流れも想定できます。

連絡の種類 想定される内容 主な危険
偽の社長メール 至急の送金、秘密の業務指示 不正送金
偽の取引先メール 請求書や振込先の変更 送金先のすり替え
偽の資料共有メール 工事資料の確認、再ログイン 認証情報の窃取
なりすまし電話 担当者名や業務情報の確認 情報の不正取得
電話とメールの組み合わせ 電話で信用させてからメールを開かせる 不正サイトへの誘導

表は実務上の注意点を理解するための整理です。個々の建設会社で実際に発生した事件を示すものではありません。

3.社長を装う緊急メールに注意

IPAは2026年3月、社長などを装った詐欺メールについて注意喚起を公表しています。社長を名乗るメールでメッセージアプリのグループ作成を求め、送金を指示する事例などが紹介されています。

特に注意したいのは、「至急」「他の社員には伝えないでほしい」といった内容です。経営者からの指示に見えても、通常の承認手続きを省略する理由にはなりません。

説明用の偽メール例

件名:至急対応してください

本文:急ぎの支払いがあります。私の指示で処理してください。今回の件は他の社員へ伝えず、指定した連絡先へ返信してください。

この文章は説明用に作成した例です。実際の詐欺メールをそのまま引用したものではありません。

このような連絡が届いた場合は、メールへ返信せず、普段から利用している社内の連絡先で社長本人へ確認しましょう。本人確認が取れるまでは、送金や新しいグループへの参加を進めないことが大切です。

参考:IPA「社長等をかたる詐欺メールに注意!」

4.元請・協力会社を装う連絡

建設会社では、元請会社、協力会社、資材会社、設計事務所など、さまざまな取引先と日常的に連絡します。長年の付き合いがある相手ほど、会社名や担当者名を聞いただけで安心してしまう可能性があります。

しかし、実在する取引先の名前を使った連絡であっても、内容が本物とは限りません。工事資料の送付、図面の変更、担当者の交代、連絡先の変更など、普段と異なる依頼には確認が必要です。

確認したい3つのポイント

  1. その依頼は事前に予定されていたか
  2. 連絡してきた相手は本当に担当者本人か
  3. 普段と異なる共有先や送金先を指定されていないか

確認の際は、メール本文や電話口で新たに案内された番号ではなく、取引先台帳や過去の正式な連絡記録に登録された番号を使いましょう。重要な変更は、社内でも記録を残すことが望まれます。

5.振込先変更と請求書の確認

「銀行口座が変わりました」「請求書を差し替えました」。こうした連絡は、正当な業務でも発生しますが、ビジネスメール詐欺で悪用される代表的な場面でもあります。

IPAは、取引先や経営者を装う偽メールによって金銭をだまし取るビジネスメール詐欺について、急な振込先変更を電話などで確認するよう注意を呼びかけています。

確認項目 危険な対応 会社で決めたい対応
振込先の変更 メールだけで口座を変更 登録済み番号で本人確認
請求書の差し替え 添付資料だけで支払い 契約・発注記録と照合
緊急の送金 担当者一人で判断 複数人の承認を必須にする
社長からの指示 通常の承認を省略 本人確認と承認記録を残す
振込先変更は必ず別経路で確認

長年の取引先であっても、口座変更をメールだけで受け付けないルールが重要です。確認する際は、変更連絡に記載された新しい電話番号をそのまま使用しないでください。

参考:IPA「ビジネスメール詐欺(BEC)対策」

6.電話で情報を聞き出す手口

電話では、声や話し方、会社名などによって相手を信用してしまうことがあります。しかし、電話で会社名や担当者名を名乗っただけでは、相手の本人確認にはなりません。

例えば、取引先の担当者を名乗り、従業員の連絡先、現場の工程、担当者のメールアドレスなどを聞き出そうとする場面が考えられます。こうした情報は、別の詐欺メールをもっともらしく見せるために利用される可能性もあります。

電話で確認したいこと

  • 初めての相手が業務情報を詳しく聞いていないか
  • 普段とは異なる番号から連絡していないか
  • 急いで回答するよう求めていないか
  • パスワードや認証コードを要求していないか
  • 電話を切らずに操作を続けるよう指示していないか

不審に感じたら、その場で回答せず「担当部署へ確認して折り返します」と伝え、いったん電話を切りましょう。折り返しは会社が把握している正規の連絡先へ行います。

電話で使える確認の一言

「恐れ入りますが、会社の確認手続きに従い、登録済みの連絡先へこちらから折り返しご連絡いたします。」

7.表示名・電話番号を信用しすぎない

メールの差出人表示名は、実在する会社名や社長名に似せられる場合があります。また、電話の着信表示に見覚えのある番号が出ていても、それだけで発信者が本人だと断定できません。

警察庁も、警察本部などの実在する代表電話番号を偽装表示する詐欺の事例を紹介しています。これは警察官を装う詐欺についての注意喚起ですが、着信表示だけでは本人確認にならないことを示しています。

会社の業務でも、重要な情報の提供や送金を求められた場合は、表示された番号へそのまま折り返すのではなく、社内に登録されている連絡先を使って確認してください。

参考:警察庁「ニセ警察詐欺に注意!」

8.偽メールと電話を見抜く5つの基本

不審な連絡を判断するときは、相手の年齢や声の印象ではなく、確認できる事実を重視します。次の5つを、ベテラン社員も含めた全従業員の共通ルールにしましょう。

基本 確認する内容 安全な行動
1.相手の確認 表示名だけで信用していないか 登録済み連絡先で確認
2.依頼の確認 予定外の指示ではないか 社内担当者へ相談
3.金銭の確認 振込先や金額の変更がないか 承認手順を守る
4.情報の確認 パスワードや業務情報を求めていないか その場で伝えない
5.緊急性の確認 秘密や即時対応を強調していないか 一度止めて別経路で確認

特に「社長からの指示だから」「昔から付き合いのある取引先だから」という理由で、本人確認や承認を省略しないことが大切です。経験豊富な社員が率先してルールを守れば、若手社員にも確認の習慣が広がります。

9.情報を伝えた・送金した場合の初動

不審なメールへ返信したり、電話で情報を伝えたりしてしまった場合は、隠さず速やかに会社へ報告しましょう。実際に何を伝えたか、どの操作をしたかによって、必要な対応は異なります。

送金してしまった場合は、時間を置かず金融機関へ連絡し、組戻しや口座に関する対応を相談してください。返金が保証されるわけではありませんが、対応を遅らせないことが重要です。

発生したこと 最初の対応 社内で確認する内容
不審メールへ返信した やり取りを止めて報告 送信内容、日時、宛先
電話で業務情報を伝えた 通話を終えて報告 伝えた情報、相手の名乗り
パスワードを伝えた 直ちに管理担当者へ連絡 対象サービス、認証情報
不正な送金をした 金融機関と社内責任者へ至急連絡 金額、送金先、実行時刻
不審な添付ファイルを実行した 操作を止めて管理担当者へ報告 ファイル名、端末、表示内容
証拠になる記録を自己判断で消さない

不審なメール、通話記録、振込明細などは、調査に必要となる可能性があります。端末の初期化やメールの削除を自己判断で行わず、管理担当者や専門家の指示に従ってください。

被害が疑われる場合は、状況に応じて警察への相談も検討してください。IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインには、セキュリティインシデント対応の手引きも掲載されています。

10.社内で決めたい確認と承認のルール

偽メールや電話詐欺への対策を、個々の社員の注意力だけに任せるのは十分ではありません。社長や経理責任者が、誰からの依頼でも確認と承認を省略しないルールを整える必要があります。

特に、振込先変更、緊急送金、取引先情報の提供、管理者アカウントの操作などは、担当者一人で決めない体制が有効です。社長自身もルールの例外にならないことが重要です。

社内で整えたい5つのルール

  1. 振込先変更は登録済みの電話番号で確認する
  2. 一定の重要な支払いは複数人で承認する
  3. パスワードや認証コードを電話で伝えない
  4. 不審な依頼は上司や管理担当者へ相談する
  5. 社長からの指示でも通常の承認手順を守る
経営者が今日決めたいこと

「振込先変更の確認担当者」と「その担当者が不在の場合の代行者」を決めてください。誰が確認するか不明なままでは、忙しいときに確認が省略される可能性があります。

11.ベテラン社員の経験を生かす朝礼教育

ベテラン社員への教育は、知識不足を指摘する場にする必要はありません。実際の取引先との連絡経験を共有しながら、どのような変更なら確認が必要かを一緒に考えることが有効です。

例えば、朝礼で「長年付き合っている協力会社から、振込先変更の電話が届いたらどうしますか」と質問します。そのうえで、登録済み番号への折り返しと社内承認の手順を確認しましょう。

時間 朝礼の内容 確認事項
1分 偽の取引先連絡を紹介 どこに違和感があるか
2分 経験豊富な社員の意見を共有 普段の取引先確認方法
1分 本人確認の手順を確認 登録済み番号へ折り返す
1分 承認・報告先を確認 担当者と代行者

大切なのは、疑わしい連絡を受けた社員を責めないことです。確認した社員を評価する雰囲気を作ることで、経験や立場に関係なく相談しやすい職場につながります。

12.偽メール・電話詐欺の10項目チェックリスト

次の10項目を、経理担当者、工事部長、現場監督、総務担当者などで確認してください。できていない項目は、担当者個人の問題ではなく、会社として整備するルールとして検討しましょう。

番号 確認項目 チェック
1 社長名のメールでも本人確認を省略しない □
2 メールの表示名だけで送信元を信用しない □
3 着信表示だけで電話の相手を信用しない □
4 重要な変更は登録済みの連絡先で確認する □
5 振込先変更は経理の承認手順に従う □
6 急な送金依頼は複数人で確認する □
7 電話でパスワードや認証コードを伝えない □
8 不審なメールのリンクや添付を安易に開かない □
9 不審な連絡を受けた場合の報告先を知っている □
10 誤操作や送金があれば速やかに報告できる □

13.まとめ|信頼関係と本人確認を両立する

建設会社にとって、ベテラン社員が築いてきた取引先との信頼関係は大切な財産です。しかし、相手をよく知っていることと、今届いたメールや電話が本物であることは別の問題です。

社長や取引先の名前を使った偽メール、急な振込先変更、不審な電話には、経験や勤続年数に関係なく注意が必要です。会社全体で本人確認と承認の手順を統一することが、従業員と取引先の双方を守ることにつながります。

今日から実践する3つのこと

  1. 重要な依頼は、登録済みの連絡先で本人確認する
  2. 社長からの指示でも、振込や情報提供の承認を省略しない
  3. 不審な連絡や誤操作は、隠さず速やかに報告する

まずは経理担当者と現場責任者へ、この3つのルールと報告先を共有してください。

参考資料:IPA「社長等をかたる詐欺メールに注意!」、IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版」。

建設会社が実践できるサイバー対策は、パキラのサイバーリスク情報サイトでも紹介しています。

※本記事は2026年10月25日時点の公的情報を参考にした一般的な情報提供です。記事中の建設会社のメール・電話例は説明用の想定事例です。特定企業での実際の被害を示すものではありません。

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