自社が利用している外部サービスが不正アクセスを受け、突然使えなくなったら、業務や顧客情報への影響をすぐに確認できますか。
2026年10月、神奈川県横須賀市は、防災情報メールや防犯あんしんメールなどの配信システムへの不正アクセスに伴い、登録者の個人情報が漏えいした可能性があると公表しました。市は、関連する4つのサービスを停止し、影響範囲の調査を進めています。
今回の事例で注目したいのは、市のシステムに直接侵入されたという話ではなく、外部のサービス提供事業者が運用する配信システムへの不正アクセスが、住民への情報提供や登録者情報に影響したことです。
これは、メール配信、顧客管理、予約受付、クラウドサービスなどを外部に委託している中小企業にも関係するリスクです。
横須賀市で何が起きたのか
横須賀市の2026年10月13日付の発表によると、登録者から不審なメールについて問い合わせがあり、市がサービス提供事業者の株式会社アルカディアに確認したところ、10月11日に配信システム「SpeeCAN RAIDEN(スピーキャン ライデン)」への第三者による不正アクセスが確認されました。
市は、次の4サービスを停止しました。
- 防災情報メール配信サービス
- 防災情報FAX配信サービス
- 防災情報電話配信サービス
- よこすか防犯あんしんメール配信サービス
漏えいした可能性がある情報は、サービスによって異なります。防災情報メールと防犯あんしんメールでは登録者のメールアドレス、防災情報FAXでは氏名または事業者名、電話番号、FAX番号、メールアドレス、防災情報電話では氏名、電話番号、FAX番号が対象として公表されました。
市の発表時点では、実際に漏えいした件数や詳細な範囲は確定しておらず、調査が続けられています。対象人数を単純に合算して、漏えいが確定した人数として扱わないことが重要です。
サービス停止中の防災・防犯情報は、市の公式ホームページや公式SNS、防災行政無線などを通じて発信すると案内されています。通常の配信手段が使えない場合に備え、代替の情報発信手段を用意している点も参考になります。
外部サービスの事故が自社に影響する理由
自社のパソコンやサーバーに異常がなくても、利用している外部サービスが攻撃を受けたり停止したりすれば、業務に影響が及ぶ可能性があります。
例えば、次のようなケースです。
- メール配信サービスが停止し、顧客への案内を送れない
- 顧客管理サービスが使えず、問い合わせや連絡先を確認できない
- 予約・受注システムが停止し、受付や納期調整に支障が出る
- 外部事業者が保管する個人情報が、漏えいした可能性のある情報に含まれる
- 事故の影響範囲が分からず、顧客への説明や社内判断に時間がかかる
外部サービスを利用すること自体が問題なのではありません。どの情報を預けているか、サービス停止時に何ができなくなるか、事故の際に誰へ連絡すればよいかを把握しているかどうかが重要です。
社長が確認したい4つの備え
1.利用中の外部サービスと預けている情報を整理する
自社で利用しているメール配信、顧客管理、予約、受注、ファイル共有などのサービスを一覧にしてみましょう。サービス名と提供事業者だけでなく、保管している情報の種類や利用目的も整理しておくと、事故時に影響を確認しやすくなります。
特に、顧客の氏名、メールアドレス、電話番号、取引情報、従業員情報などを預けているサービスは、優先して確認しておきたい項目です。
2.事故発生時の連絡体制を確認する
外部サービスで不正アクセスや情報漏えいの可能性が判明した場合、誰から連絡を受け、誰が社内で対応を判断するのか決めておきましょう。サービス提供事業者の緊急連絡先、報告方法、対応時間、事故の影響を確認する窓口も整理します。
担当者が不在の場合に備え、代わりに対応する人を決めておくことも大切です。契約書やサービスの利用規約に、事故時の通知や対応について記載があるかも確認しましょう。
3.影響を受けた情報を確認する手順を決める
事故の連絡を受けたときは、どのサービスが影響を受けたのか、どの種類の情報が対象となる可能性があるのか、いつのデータが関係するのかを確認する必要があります。
委託先からの説明を記録し、自社が保有する顧客情報や従業員情報と照合できるようにしておきましょう。情報漏えいの可能性がある段階では、確認できた事実と未確定の内容を区別し、根拠のない断定を避けることも重要です。
4.サービス停止時の代替手段と利用者への案内を準備する
サービスが停止しても業務を継続できるよう、別の連絡手段や手作業での対応方法を検討します。顧客への案内が必要な場合に備え、公式サイト以外の連絡手段や問い合わせ窓口も整理しておきましょう。
ただし、代替手段として別のサービスを使う場合も、個人情報の取り扱いには注意が必要です。緊急時だからといって、承認されていない個人メールや安全性を確認していないサービスに顧客情報を移さないよう、事前にルールを決めておくことが大切です。
サイバー保険で確認しておきたいこと
サイバー保険は、契約内容や事故の状況によって、情報漏えいへの対応費用、原因調査費用、損害賠償などが補償対象となる場合があります。ただし、外部委託先で事故が起きたからといって、すべての費用が自動的に補償されるわけではありません。
自社の契約について、外部サービスや委託先に関連する事故が対象となるか、対象費用、免責金額、支払限度額、対象外となるケースなどを確認しておきましょう。補償の可否は、保険商品や契約条件、事故の状況によって異なります。
保険による費用面の備えと、委託先を把握して事故時に対応できる体制づくりは別のものです。両方を準備しておくことが、事業への影響を抑えるうえで重要です。
まずは外部サービスを一つ確認してみる
今回の事例を自社に置き換え、次の3点を確認してみてください。
- 顧客情報や従業員情報を預けている外部サービスを把握しているか
- 委託先で事故が起きたとき、誰に連絡し、何を確認するか決まっているか
- サービス停止時の代替手段と、利用者への案内方法があるか
すべてを一度に見直す必要はありません。まずは顧客情報を扱うサービスや、停止すると業務への影響が大きいサービスを一つ選び、預けている情報と緊急時の連絡方法を確認することから始めましょう。
サイバーリスクへの備えやサイバー保険について詳しく知りたい場合は、パキラのサイバーリスク情報サイトもご覧ください。
参考:横須賀市「横須賀市防災情報メール及び防犯あんしんメール配信サービス等における不正アクセスに伴う個人情報の漏えいのおそれについて」

コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://risk.pakira-izu.co.jp/2026/10/16/yokosuka-disaster-email-external-service-cyberattack/trackback/