現場目線で企業リスクを可視化する調査・リスクマネジメント

卸売業のサイバーリスク|受発注システム停止時の代替手段

卸売業のサイバーリスク|受発注システム停止時の代替手段

卸売業では、受発注システムを使って注文の受付、在庫確認、納期回答、出荷指示などを行う会社が多くあります。もしシステムが突然停止したら、注文を受け付けられない、在庫が確認できない、出荷の指示が出せないといった問題が起こる可能性があります。

システム停止の原因は、機器の故障やソフトウェアの不具合だけではありません。サイバー攻撃が原因となる場合もあるため、原因が分からない段階では、情報セキュリティ上の問題も想定して対応することが重要です。

大切なのは、システムが止まらないようにする対策に加え、止まった場合にどの業務を優先し、どの手段で注文受付や出荷を続けるかを決めておくことです。

受発注システムが停止すると、どの業務に影響するのか

  • 注文受付:取引先からの注文内容を確認・登録できない
  • 在庫確認:商品在庫や引当状況を把握しにくくなる
  • 納期回答:出荷予定や納品日を確認できない
  • 出荷手配:倉庫への指示や送り状の作成に支障が出る
  • 売上・請求処理:注文や出荷の記録を正確に照合しにくくなる

影響の大きさは、システム構成や社内の業務手順によって異なります。まずは、自社の受発注業務がどのシステムに依存しているのかを整理しましょう。

システム停止に備えて決めておきたい5つのこと

対策1.止められない業務と優先順位を決める

すべての注文を通常どおり処理できない場合に備え、優先して対応する業務を決めておきます。例えば、納品期限が迫っている注文、生活や事業に必要な商品、代替調達が難しい商品など、自社の取引内容に応じて判断基準を整理します。

優先する取引先や注文の判断を担当者任せにせず、責任者と判断基準を共有しておくことで、混乱を抑えやすくなります。

対策2.電話・FAX・紙の注文書を使えるようにする

受発注システムが使えない場合に備え、電話やFAXで注文を受け付ける手順、紙の注文書の様式、メールによる簡易受付の手順などを準備します。取引先によって利用できる連絡手段が異なるため、主要な取引先と事前に確認しておくことも大切です。

代替手段を決める際は、注文番号、受信日時、商品名、数量、納期、担当者など、記録する項目を統一します。口頭で受け付けた注文も記録に残し、後から確認できるようにしましょう。

対策3.二重注文や入力漏れを防ぐ

システム停止中に電話やFAXで受け付けた注文を、復旧後にシステムへ登録する際は、二重登録や入力漏れが起こる可能性があります。代替受付の注文番号を付け、受付担当者と処理状況を一覧で管理しましょう。

復旧後は、代替受付の記録とシステム内の注文データを照合し、登録済み・未登録・確認中の状態を区別します。通常業務へ戻す手順まで決めておくことが重要です。

対策4.在庫確認と出荷指示の手順を用意する

システムが停止した際、在庫情報をどこで確認するか、倉庫への出荷指示を誰が出すか、出荷済みの商品をどう記録するかを決めておきます。印刷した在庫一覧や出荷予定表を利用する場合は、いつ時点の情報かを明記し、古い情報による誤出荷を防ぎましょう。

手作業で処理する範囲や責任者をあらかじめ決めておけば、システム停止中でも、対応可能な業務を整理しやすくなります。

対策5.復旧手順と連絡体制を確認する

システム停止時の連絡先として、社内の責任者、システム保守会社、クラウドサービス提供元などを一覧にしておきます。復旧を誰が判断し、どの順番でシステムや業務を再開するのかも整理しましょう。

バックアップは取得するだけでなく、実際に復元できるかを確認することが大切です。重要なシステムについて、どの程度の時間で復旧したいのか、どの時点のデータまで戻せれば業務を再開できるのかを検討し、復元訓練で手順を確かめましょう。

システムが止まったときの初動対応

  • 異常に気づいた日時と症状を記録する
  • システム管理者や情報セキュリティ責任者へ連絡する
  • サイバー攻撃の可能性も考慮し、保守会社などと対応を検討する
  • 被害拡大のおそれがある場合は、専門家の指示に沿って隔離などを行う
  • 電話・FAX・紙の注文書など、事前に決めた代替手段へ切り替える
  • 取引先への連絡が必要な場合は、窓口と案内内容を整理する
  • 復旧後に代替受付分を照合し、二重登録や未処理の注文がないか確認する

原因が分からないまま、端末を初期化したり、ログやデータを削除したりすると、原因調査に必要な記録を失う可能性があります。異常の内容に応じて、システム保守会社や専門家の助言を受けながら対応しましょう。

サイバー保険で確認しておきたいこと

サイバー保険は、サイバー攻撃などによる事故に備える手段の一つです。ただし、システム停止による休業損害や復旧費用が、すべての契約で補償されるわけではありません。

確認したいのは、どのような原因によるシステム停止が補償対象となるか、復旧費用や調査費用、利益減少などがどの条件で対象となるか、免責金額や支払限度額はどうなっているかという点です。補償対象となる事故や費用は、契約条件によって異なります。

保険による備えと並行して、日常のセキュリティ対策、代替手段、復旧訓練を整えておくことが重要です。

関連する記事

まとめ|止まったときの手順を平時に決めておく

卸売業の受発注システムが停止した場合、注文受付、在庫確認、出荷指示など、複数の業務に影響が出る可能性があります。電話・FAX・紙の注文書などの代替手段を用意し、優先する業務、記録方法、復旧後の照合手順まで決めておきましょう。

まずは、受発注システムが使えなくなったときに、誰が取引先へ連絡し、どの方法で注文を記録するのかを確認してみてください。事前の準備と訓練が、混乱を抑え、業務を早期に再開するための支えになります。

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

コメント Comments

コメント一覧

コメントはありません。

トラックバックURL

https://risk.pakira-izu.co.jp/2026/10/16/wholesale-order-system-outage-alternative/trackback/

関連記事 Relation Entry