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社員が不審電話を受けたら?会社を守る確認・報告の実践ルール

社員が不審電話を受けたら?会社を守る確認・報告の実践ルール

「警視庁捜査二課です。捜査への協力をお願いします」

会社の電話に突然このような連絡が入ったら、社員はどう対応すればよいでしょうか。

警察からの連絡だと思うと、電話を切ってはいけない、詳しく説明を聞かなければならないと感じるかもしれません。

しかし、電話の相手が名乗った所属や肩書だけでは、本当に警察官なのか判断できません。

実際に記録された2件の不審電話では、相手は捜査二課を名乗り、香川県警からの捜査協力要請を理由に連絡してきました。

一方の電話では「一人で話してほしい」「録音は禁止」と説明され、もう一方では「本人名義の銀行カードが押収された」と告げられています。

ただし、相手の身元や説明された事件の事実関係は確認できていません。

今回の記事では、こうした電話を社員が受けた場合に備え、電話を切る・確認する・報告するという3つの行動を、会社の共通ルールとして整える方法を解説します。

この記事で分かること

  • 社員が不審電話を受けたときの最初の行動
  • 警察や金融機関の公式窓口で確認する手順
  • 上司への報告内容と記録方法
  • 経理担当者が注意すべき口座情報や送金指示
  • 社長不在でも機能する社内対応ルール
目次|クリックで開閉できます
  1. 実際の録音から分かる不審電話の特徴
  2. 社員が電話を切る判断をしてよい理由
  3. 対応の基本は「切る・確認する・報告する」
  4. 電話を切る前に何を伝えるか
  5. 公式窓口で確認するときの注意点
  6. 上司への報告で必要な情報
  7. 経理担当者が受けた場合の追加ルール
  8. 社長や責任者が不在のときの対応
  9. 電話内容を記録・保存する際の注意点
  10. 会社で決めておきたい禁止事項
  11. 社員向けの社内共有文と報告テンプレート
  12. 情報を伝えたり送金したりした場合の初動
  13. 社長向けチェックリストと今日の一歩

1.実際の録音から分かる不審電話の特徴

今回の参考事例は、同じ経営者が受けた2件の電話です。

項目 1件目 2件目
名乗った所属 警視庁捜査二課 捜査二課
連絡理由 香川県警からの捜査協力要請 香川県警からの捜査協力要請
特徴的な説明 一人で話すよう求め、録音禁止と主張 本人名義の銀行カードが事件で押収されたと説明
未確認事項 相手の身元と捜査の実在 相手の身元とカード押収の事実

これらは録音で確認できた発言です。相手が実際に警察官だったか、同じグループが電話をかけたかは分かりません。

また、録音で確認できた範囲では、送金や暗証番号の提供を求められた場面はありません。

重要なのは、電話の相手が誰であっても、会社として本人確認の手順を省略しないことです。

2.社員が電話を切る判断をしてよい理由

社員が不審電話を受けた際、「警察を名乗っているので切れない」と考えることがあります。

しかし、相手の身元が確認できない状態で、個人情報や会社の重要情報を伝える必要はありません。

会社として「確認のために電話を切ってよい」と明確に決めておけば、社員は安心して対応できます。

例えば、相手が急いでいると説明しても、確認する時間を確保することが大切です。

通話を続けながら相手を説得したり、嘘を見破ろうとしたりする必要もありません。

注意

「警察」「捜査」「銀行口座」などの言葉が出ても、電話だけで相手の身元を確定しないでください。

3.対応の基本は「切る・確認する・報告する」

社員の対応を複雑にしないため、基本行動を3つにまとめます。

① 電話を切る

重要情報を伝えず、いったん通話を終了します。

② 確認する

警察や金融機関の公式サイトなどで連絡先を調べ、正規窓口へ確認します。

③ 報告する

上司や社内の担当者へ、着信日時や相手の説明、要求された内容を伝えます。

この順番は、社員がその場で相手に従わず、安全を確保するための基本です。

実際の運用では、公式窓口への確認を担当者が行うなど、会社の規模に応じて役割を決めてください。

4.電話を切る前に何を伝えるか

不審な電話でも、相手に強い言葉を返す必要はありません。

次のように、短く伝えて通話を終了します。

電話での対応例

「確認してから対応いたしますので、いったん失礼いたします」

相手から「今すぐ対応しなければならない」と言われても、個人情報や口座情報を追加で伝えないことが重要です。

また、相手から教えられた折り返し番号へ、そのまま電話しないようにします。

自分で調べた公式窓口へ確認することが基本です。

5.公式窓口で確認するときの注意点

警察を名乗る電話について確認する場合は、警察の公式サイトなどに掲載された連絡先を利用します。

緊急の危険がある場合は110番、緊急でない相談には警察相談専用電話「#9110」などが利用できます。

確認する際には、次の情報が役立ちます。

  • 電話がかかってきた日時
  • 表示された電話番号
  • 相手が名乗った所属と氏名
  • 説明された事件や連絡理由
  • 求められた行動

会社で連絡先を整備する考え方については、関連記事サイバー事故に備える緊急連絡体制の準備も参考になります。

6.上司への報告で必要な情報

不審電話を受けた社員が、長い報告書を作る必要はありません。

まずは次の6項目を簡潔に伝えれば、状況を把握しやすくなります。

  1. いつ電話があったか
  2. どの番号からかかってきたか
  3. 相手が何と名乗ったか
  4. どのような説明をしたか
  5. 何を求められたか
  6. 何か情報を伝えたり、操作したりしたか

特に最後の項目は重要です。

口座番号、認証コード、ログイン情報などを伝えていないか、相手の指示で送金やアプリのインストールをしていないかを確認します。

報告を受けた上司は、社員を責めるのではなく、必要な確認や初動対応を進めてください。

7.経理担当者が受けた場合の追加ルール

経理担当者は、銀行口座や支払情報を扱うため、追加の確認ルールが必要です。

警察や金融機関を名乗る電話であっても、次の対応を徹底します。

  • 口座番号や認証コードを電話で伝えない
  • 電話の指示だけで送金しない
  • 振込先変更は既知の連絡先で再確認する
  • 社長の名前を出されても承認手順を省略しない
  • 不審な連絡を受けたら責任者へ共有する

会社の口座が事件に関係していると説明されても、金融機関の正規窓口で確認するまでは資金を動かさないことが大切です。

8.社長や責任者が不在のときの対応

社長が外出中、出張中、会議中であっても、不審電話はかかってきます。

そのため、社長だけを報告先にすると、対応が止まる可能性があります。

例えば、一次報告先を総務責任者、二次報告先を別の管理者とするなど、複数の連絡先を決めておきましょう。

また、誰が警察や金融機関の公式窓口へ確認するかも決めておくと、社員が迷わず対応できます。

重要なのは、社長が不在でも、同じ手順で安全確認ができることです。

9.電話内容を記録・保存する際の注意点

不審電話の記録は、後から内容を確認したり、警察や金融機関へ相談したりする際に役立ちます。

ただし、録音やメモには、氏名、電話番号、銀行口座などの情報が含まれる場合があります。

社内で保存する際は、次の点を確認してください。

  • 必要な情報だけを記録する
  • 録音ファイルの保存先を決める
  • 閲覧できる担当者を限定する
  • 外部公開時は個人情報や無関係な音声を除外する
  • 保存期間と削除手順を決める

クラウド上で共有する場合には、リンクの公開範囲やアクセス権限にも注意が必要です。

外部サービスを利用する際の情報管理については、クラウドサービス・外部事業者のリスクも参考になります。

10.会社で決めておきたい禁止事項

社員の判断に任せるのではなく、会社として禁止事項を明確にしておきましょう。

禁止事項 理由
電話だけで口座情報や認証コードを伝える 相手の身元を確認できないため
相手が指定した口座へ送金する 資金を失うおそれがあるため
相手の指示で不審なアプリを入れる 端末や情報への被害が生じる可能性があるため
相手が教えた番号だけで本人確認する 偽の連絡先である可能性があるため
上司に相談せず重要な判断をする 会社として確認する機会を失うため

社員に禁止事項を伝えるだけでなく、迷ったときの相談先もセットで周知することが大切です。

11.社員向けの社内共有文と報告テンプレート

社員向け注意喚起文

不審電話への対応について

警察官や金融機関を名乗る電話があっても、相手の身元が確認できない場合は、その場で個人情報や会社の重要情報を伝えないでください。

いったん電話を切り、公式窓口で確認し、社内の担当者へ報告してください。

判断に迷った場合も、一人で対応せず、必ず相談してください。

報告テンプレート

件名:不審電話の報告

着信日時:

表示番号:

相手が名乗った所属・氏名:

電話の内容:

相手から求められたこと:

情報提供・送金・操作の有無:

現在の対応状況:

この形式を社内メールやチャットに登録しておけば、報告の負担を減らせます。

12.情報を伝えたり送金したりした場合の初動

ここからは今回の録音で確認された被害ではなく、一般的な緊急対応の説明です。

銀行口座や認証情報を伝えた場合

金融機関の正規窓口へ速やかに連絡し、利用停止や認証情報の変更など必要な対応を確認します。

送金してしまった場合

金融機関と警察へ速やかに相談し、取引日時や振込先などを伝えます。

不審なアプリを入れた場合

業務用端末なら情報管理担当者へ報告し、安全確認を進めます。必要に応じてネットワークからの切り離しなどを判断します。

会社のログイン情報を伝えた場合

管理者へ報告し、認証情報の変更や不審なログインの確認を行います。

情報セキュリティ事故への備えについては、中小企業のサイバー保険と実務対策も参考になります。

なお、詐欺や不審電話に関する損害が必ずサイバー保険の補償対象になるわけではありません。補償の有無は契約内容と事故状況によって異なります。

13.社長向けチェックリストと今日の一歩

最後に、会社の対応体制を確認しましょう。

  • □ 社員が不審電話を切ってよいと周知している
  • □ 公式窓口で確認する手順がある
  • □ 不審電話の報告先が決まっている
  • □ 社長不在時の報告先も決まっている
  • □ 経理担当者に追加の確認ルールがある
  • □ 電話だけで送金や振込先変更をしない
  • □ 着信日時や要求内容を記録できる
  • □ 録音や報告内容の保存先が決まっている
  • □ 情報を伝えた場合の緊急連絡先が分かる
  • □ 社員向けの注意喚起を共有している
今日の一歩

社内で次の3つを共有してください。

① 電話を切る ② 公式窓口で確認する ③ 社内へ報告する

そして、不審電話を受けた社員が最初に報告する担当者を一人決めてください。

不審電話を完全になくすことは難しくても、社員が迷わず対応できる会社にはできます。

社員を守るためのルールが、結果として会社の資金や情報を守ることにつながります。

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