現場目線で企業リスクを可視化する調査・リスクマネジメント

建設業の工事遅延と追加費用を防ぐサイバーリスク対策と備え

建設業の工事遅延と追加費用を防ぐサイバーリスク対策と備え

建設業で工事の遅延や追加費用につながるサイバーリスク

建設業では、図面や見積書、工程表、写真、協力会社との連絡など、多くの業務をパソコンやクラウドサービスで管理しています。

こうしたデータやシステムがサイバー攻撃によって使えなくなると、現場の作業や工程管理に影響し、工事の遅延や追加費用につながる可能性があります。

サイバー攻撃への備えは、パソコンを守るだけではありません。工事を止めないための準備と、万一停止したときに業務を継続する方法を決めておくことも重要です。

建設業で想定される3つの影響

1. 図面や工程データが使えなくなる

ランサムウェアなどの攻撃によって、図面、見積書、工程表、現場写真などにアクセスできなくなる可能性があります。必要な資料を確認できなければ、作業の確認や手配に時間がかかり、工事の進行に影響することがあります。

2. 協力会社や取引先との連絡が滞る

メールや業務システムが使えなくなると、協力会社への連絡、資材の手配、作業員の配置変更などに支障が出る場合があります。現場で必要な情報をどのように共有するか、代替手段を考えておく必要があります。

3. 復旧作業や工期の調整に追加費用がかかる

システムの調査・復旧費用に加え、外部専門業者への対応費用、代替手段の確保、工期の調整などが必要になる可能性があります。ただし、実際の影響や費用は、被害の範囲、契約条件、現場の状況によって異なります。

工事の遅延や追加費用を抑えるための3つの対策

対策1. 重要データをバックアップする

図面、工程表、見積書、顧客情報、現場写真など、業務に欠かせないデータを洗い出し、定期的にバックアップを取得しましょう。

バックアップ先まで被害を受けると復旧できないおそれがあるため、通常の業務用ネットワークから切り離した保管方法も検討します。バックアップを取るだけでなく、実際にデータを復元できるか、定期的に確認することが大切です。

対策2. システム停止時の代替手段を決めておく

メールやクラウドサービスが使えない場合に備え、現場責任者、協力会社、資材業者などへの連絡方法を整理します。緊急連絡先は、業務システムだけに保存せず、必要な担当者が別の方法でも確認できるようにしておきましょう。

また、紙の工程表や手元で確認できる必要最小限の資料など、状況に応じて業務を継続する手順を決めておくと、復旧までの混乱を抑えやすくなります。紙で保管する情報についても、持ち出しや紛失に注意が必要です。

対策3. 復旧の優先順位と判断担当者を決める

すべてのシステムを同時に復旧できるとは限りません。工事の継続に必要なシステムやデータを整理し、何から復旧するかを事前に決めておきましょう。

あわせて、システム停止時の社内責任者、外部のIT事業者への連絡先、取引先への連絡担当者を明確にします。復旧の見込みが立たない場合に、現場の作業をどう判断するかも検討しておくと実務に役立ちます。

サイバー攻撃が発生したときに確認したいこと

  • 被害が疑われるパソコンやシステムを、社内の手順に従ってネットワークから切り離すなど、被害拡大を防ぐ。
  • 社内の責任者と、契約しているIT事業者などへ速やかに連絡する。
  • 影響を受けた図面、工程表、連絡手段、現場業務を整理する。
  • 協力会社や取引先への連絡が必要か確認し、連絡手段を確保する。
  • 復旧作業や外部への相談に関する記録、費用の明細、対応履歴を保存する。

感染が疑われる端末を自己判断で初期化したり、記録を消したりすると、原因調査や復旧に影響する可能性があります。具体的な対応は、専門家や関係機関の助言を受けながら進めましょう。

サイバー保険で確認したいポイント

サイバー保険は、契約内容によって、事故原因の調査費用、システム復旧費用、第三者への賠償責任などが補償対象となる場合があります。ただし、補償範囲や支払条件は契約によって異なり、工事の遅延や追加費用がすべて補償されるわけではありません。

確認したいのは、主に次の点です。

  • 事故原因の調査やシステム復旧にかかる費用が補償対象となるか。
  • 業務停止による利益の減少や追加費用が対象となるか、その条件は何か。
  • 協力会社や取引先など第三者への損害賠償が対象となるか。
  • 事故発生時の保険会社への連絡期限、事前承認が必要な費用、免責金額、支払限度額はどうなっているか。

特に、工事の遅延に伴う費用や利益の減少については、契約によって扱いが異なります。保険証券や約款、特約を確認し、必要に応じて保険会社や取扱代理店に具体的なケースを伝えて確認しましょう。

まずは自社の備えを確認しましょう

サイバー攻撃を完全に防ぐことだけを目指すのではなく、被害が発生した場合でも、重要なデータを復旧し、現場の業務をできる限り継続できる準備が大切です。

まずは、次の3点から確認してみてください。

  • 図面や工程表のバックアップを取得し、復元できるか確認しているか。
  • メールやクラウドが使えない場合の連絡手段があるか。
  • 復旧の優先順位と、社内外への連絡担当者が決まっているか。

サイバーリスクへの備えは、IT担当者だけの問題ではありません。工期、取引先との信頼、追加費用にも関係する経営上の課題です。自社の業務に合わせて、できるところから準備を進めましょう。

サイバーリスクに関する情報は、パキラのサイバーリスク情報サイトでも紹介しています。

“`

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

コメント Comments

コメント一覧

コメントはありません。

トラックバックURL

https://risk.pakira-izu.co.jp/2026/10/15/construction-delay-cyber-risk-prevention/trackback/

関連記事 Relation Entry